クーベルタン原典翻訳ブック

次の大会は東京で

 この第12オリンピアードの終わりにあたり、皆様にごく短い言葉をお送りします。しかし、この言葉の重要性は改めて申し上げるまでもありません。現時点においてオリンピック運動の観点からみて、他の何にも勝る有力な一つの事実ではないでしょうか。この事実を前にしては、他のことは形なしのように見えます。それほどこの事実はその結果において重大なのです。「オリンピズムがアジアに浸透します。」
 はやくもヘラデの聖なる地に灯される象徴の炎を、極東に運ぶことが万を侍して考えられております。これは不可欠なことではないかもしれません。去る7月に敢行されたような、オリンピアからベルリンまで松明リレーをして走者が走ることは、その大きさとその決定的かつ恒久的な広がりを行動で示すことにおいて十分ではなかったのではないでしょうか。今まさに、聖火の松明は現実に、そしてまたイメージとして世界を巡るとすれば、その意味するところもまた、松明の炎と同じく精霊の力を彷彿とさせるのです。蘇ったオリンピズムと共に、これから4年にわたり日本帝国の思想を捉え、わがヨーロッパ諸文明の最も純粋なものとアジアの諸文明の最も目覚ましいものとの接触を刻印しようとしているものはまさにヘレニズム全体なのです。
 人類の運命に深く刻まれ、そこから出ることのない恵深い永遠の日付。

おわり

(in. La Revue Sportive Illustrée , 32e année, 1936 [12], no.3 [p.17]; TC.2681)